電子には波の性質があるため、電子線が結晶表面に入射すると表面近傍の結晶の周期性を反映させた回折パターンを生成します。
試料表面に対して浅い入射角で高速の電子線を入射させて反射した回折電子を観察する方法を反射高速電子線回折法(Reflection High Energy Electron Diffraction : RHEED)とよび、試料表面に対して垂直に低エネルギーの電子線を入射させて後方散乱された回折電子を観察する方法を低速電子線回折法(Low Energy Electron Diffraction : LEED)とよびます。
反射高速電子線回折法(RHEED)は、真空中で10〜50keV程度の電子線を試料表面に浅い角度で入射させ、試料表面の結晶格子で回折した反射図形を検出することで結晶表面の状態を調べる分析手法です。
RHEEDで入射する電子線は試料表面から数原子層程度しか侵入しないため表面状態に極めて敏感であり、主に結晶性,表面の平坦性,表面構造の情報が得られます。
低速電子線回折装置(LEED)は、真空中で数eV〜数百eV程度の電子線を試料表面に垂直に入射させ、試料表面の結晶格子で回折した後方散乱図形を検出することで結晶表面の構造を調べる分析手法です。
LEEDで入射する電子線は試料表面から数nm程度しか侵入しないため表面状態に極めて敏感であり、主に結晶性,表面構造の情報が得られます。